メルカリの売上は、振り込まれた金額ではなく、販売価格の総額で売上高に計上します。販売手数料と送料は、差し引かれていても経費として別に書きます。 売上金はアプリの残高に入ってから口座に移るので、その間は「売掛金」で受けておきます。 この形さえ決めておけば、仕入れの払い方や残高の使い道が変わっても、同じ考え方で仕訳できます。
まず1件の 仕訳を 見る| 売上は 総額、 手数料と 送料は 経費

言葉で説明するより、1件の取引で見たほうが早いので、古着屋で2,500円で仕入れたジャケットを6,800円で売った例で説明します。
計算例
- 販売価格
- 6,800円
- 販売手数料(10%)
- 680円
- 送料(例)
- 750円
- 残高に入る合計
- 5,370円
販売手数料は販売価格の10%で、取引が完了したときに差し引かれます。送料は配送方法とサイズで変わるので、ここでは750円としています。
この取引を10月4日に発送し、10月24日に口座へ振り込まれたとすると、仕訳は次のようになります。
| 日付 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 10/4 発送 | 売掛金 5,370 | 売上高 6,800 |
| 支払手数料 680 | ||
| 荷造運賃 750 | ||
| 10/24 入金 | 普通預金 5,170 | 売掛金 5,370 |
| 支払手数料 200 |
売上高は6,800円です。手数料680円と送料750円は経費として左側に立て、実際に残高へ入る5,370円を売掛金にします。口座に移すときには振込手数料200円が引かれるので、それも支払手数料です。
振り込まれた5,170円だけを売上にしても、利益は同じに見えます。ただ、売上の額が1,630円ぶん小さく記録されます。業務に係る雑所得では、前々年の収入金額が300万円を超えるかどうかで、書類の保存義務や入金日で計上できるかが変わるので、売上は総額で残しておく必要があります。
仕入れの2,500円は、売れたときの仕訳には入れません。仕入れたときに別の仕訳を立てます(場面別の仕訳例で説明します)。
メルカリで よく使う勘定 科目

メルカリの取引で使う科目は多くありません。次の表で、ほぼすべての場面に答えられます。
| こんなとき | 勘定科目 |
|---|---|
| 商品が売れた | 売上高 |
| 販売手数料(10%) | 支払手数料 |
| 振込手数料(200円) | 支払手数料 |
| メルカリ便などの送料 | 荷造運賃 |
| 段ボール・緩衝材・テープ | 荷造運賃 |
| 売るための商品を買った | 仕入高 |
| 売上金がまだ残高にある | 売掛金 |
| カードで払い、引き落とし前 | 未払金 |
| 個人のお金で事業の支払いをした | 事業主借 |
| 事業のお金を私用に使った | 事業主貸 |
販売手数料は「販売手数料」という科目で立てても構いません。会計ソフトによって用意されている科目名が少し違うこともあります。大事なのは、一度決めた科目を途中で変えないことです。年の途中で変えると、1年分を集計したときに金額が2つの科目に割れてしまいます。
副業だと、個人の口座や財布とメルカリのお金が混ざるのが普通です。事業用の口座を分けていないなら、個人のお金で払った仕入れは「事業主借」、売上金を私用の買い物に使ったら「事業主貸」で受けます。この2つを使えば、口座を分けていなくても帳簿は組めます。
売上は いつ計上する?| 発送日か受取 評価の 日に 決める

商品を売ったときの収入は、「引き渡した日」に計上するのが原則です。国税庁の通達では、引き渡した日の例として出荷した日・相手に着いた日・相手が検収した日などを挙げていて、その中から自分で決めた日を毎年続けて使うことになっています(所得税基本通達36-8の2)。
- 発送した日 ─ 発送通知をした日。12月末に発送したものは、その年の売上になる
- 受取評価された日 ─ 購入者が商品を受け取って評価した日
どちらを選んでも構いません。メルカリでは、出品者が購入者を評価して取引が完了したタイミングで、販売利益が残高に入ります。受取評価が来たらすぐ評価しておけば、計上日と残高に入る日がほぼそろいます。
入金日で 計上できる人も いる
「入金日で計上するのは認められない」と書かれていることがありますが、全員に当てはまる話ではありません。副業のメルカリが業務に係る雑所得に当たり、前々年の収入金額が300万円以下なら、売上と経費を、実際にお金を受け取った日・払った日で計上できます(令和4年分以後。国税庁 No.1500)。
この方法なら売掛金を使わずに済み、帳簿はかなり軽くなります。自分の所得が雑所得か、そもそも申告が要るかから確かめたい場合は、メルカリ確定申告はいくらから必要?で整理しています。
場面別の 仕訳例

ここからは、さきほどのジャケットの例を使って、よく迷う場面の仕訳を並べます。
仕入れたとき (現金・カード)
- 個人の財布の現金で仕入れた ─ 仕入高 2,500 / 事業主借 2,500
- 事業用のカードで仕入れた ─ 仕入高 2,500 / 未払金 2,500
- そのカードが引き落とされた ─ 未払金 2,500 / 普通預金 2,500
個人のカードで払って個人の口座から引き落とされる場合は、仕入れた日に「仕入高/事業主借」の1本で済みます。
売上金を 残高の まま使ったとき
- 残高でメルカリの商品を仕入れた ─ 仕入高 3,000 / 売掛金 3,000
- 残高で私用の買い物をした ─ 事業主貸 1,200 / 売掛金 1,200
残高は、口座に移すまでメルカリに預けてあるお金です。使ったぶんだけ売掛金を減らす、と考えると迷いません。メルカリで買った物の記録の残し方は、メルカリで購入した費用は経費になる?にまとめています。
海外から 仕入れたとき (中国輸入など)
仕入れ値には、商品の代金だけでなく、引取運賃・購入手数料・関税など、買うためにかかった費用も含めます(所得税法施行令103条)。中国輸入なら、商品代に国際送料・代行業者の手数料・関税を足した額が仕入高です。
- 商品代 ─ 18,000円
- 国際送料 ─ 4,500円
- 代行手数料 ─ 900円
- 関税 ─ 1,100円
- 仕入高にする額 ─ 合計24,500円(1着あたり2,450円)
送料や手数料を別の経費にしてしまうと、売れ残った在庫の金額が小さく出ます。1着ずつの仕入れ値も、この合計から割り振っておくと、年末の棚卸しがずれません。
12月に 売れて1月に 入金されたとき
発送日で計上しているなら、12月28日に発送した取引は今年の売上です。12月31日の時点では売掛金として残し、1月に入金されたときは売掛金を減らすだけにします。1月の入金を、来年の売上としてもう一度計上しないでください。
受取評価の日で計上しているなら、受取評価が1月3日なら来年の売上です。どちらの場合も、1つの取引を2年に分けて数えないことが大事です。
キャンセル・ 返品に なったとき
売上を立てたあとにキャンセルになったら、立てた仕訳と同じ金額で、借方と貸方を逆にした仕訳を入れて取り消します。そのうえで、送料など実際にお金がかかったものだけを経費として残します。
毎日の 売上を まとめて 入力しても いい?

入力する作業を週1回や月1回にまとめること自体は問題ありません。日付は、まとめて入力した日ではなく、決めておいた計上日で入れます。
帳簿の1行にどこまでまとめてよいかは、申告の方法で変わります。白色申告なら、国税庁は日々の合計金額だけをまとめて書く簡易な方法でもよいとしています(国税庁 No.2080)。メルカリなら、その日に発送した分を合計して1行にする書き方です。
その場合も、1件ずつの内訳がわかる販売履歴や取引画面の記録は残しておきます。白色申告の帳簿は7年、請求書などの書類は5年の保存が必要です。青色申告で複式簿記を使っているなら、取引ごとに入れておくほうが、あとで残高や入金と照らし合わせやすくなります。
年末に やること

12月31日で帳簿を締める前に、次の4つを確認します。
- 12月に発送して取引が完了していない売上を、売掛金に入れたか
- 帳簿の売掛金の残りと、アプリの残高が合っているか
- 売れ残った在庫を数えたか
- 引き落としが来年になるカード払いの仕入れを、未払金にしたか
売掛金と残高が合わないときは、取引完了前の売上が含まれているか、記帳漏れが残っています。年に一度でも照らし合わせておくと、漏れに気づけます。
在庫の数え方は特に大事です。仕入れは買った年に全額が経費になるわけではなく、売上原価は「年初の在庫+その年の仕入れ−年末の在庫」で計算します。年末に残った在庫の分は、その年の経費から外れます。数え方と記録の仕方はメルカリの仕入れ費用は経費になる?で説明しています。
入金日・支払日で計上する特例を使っている人は、売掛金や在庫の調整をしない計算になります。
会計ソフトに 入れるとき

会計ソフトでも、入れる中身はここまでの仕訳と同じです。freeeなら、売上の取引に手数料と送料の差し引きをまとめて1件で登録できます。
- 「取引入力」から「収入・支出形式(取引の一覧・登録)」を開き、「詳細登録」を押す
- 1行目に売上高6,800円を入れる
- 「控除・マイナス行を追加」で行を足し、支払手数料680円と荷造運賃750円を入れる
- 合計が残高に入る金額と一致していることを確かめて登録する
マネーフォワードを使う場合、個人の確定申告は「マネーフォワード クラウド確定申告」です(クラウド会計は法人向け)。仕訳帳に、この記事の表と同じ形で入力します。
どちらのソフトでも、摘要に商品名を書いておくと、あとで販売履歴と照らし合わせやすくなります。件数が多く、CSVでまとめて取り込みたい場合はメルカリ会計ソフトの選び方を見てください。
フリマネージャーで 取り込む場合
取引が増えてくると、1件ずつ仕訳を打つのが一番時間のかかる作業になります。そこは取り込みに任せることもできます。
フリマネージャーは、メルカリの売上を取引ごとに自動で取り込みます。ほかのフリマサイトの売上も、手入力すれば同じ画面にまとめられます。
スタンダードプランと確定申告プランでは、取り込んだ取引を弥生・freee・マネーフォワード形式のCSVで書き出せます。この記事の仕訳を1件ずつ手で打たずに会計ソフトへ渡せるので、残る作業は取り込んだあとの科目の確認くらいです。経費の年間集計も同じプランで使えます。
メルカリの売上の取り込みは、無料で始められます。
よくある質問よくいただくご質問を、分かりやすくまとめました。
まとめ
- 売上は販売価格の総額で計上し、手数料・送料・振込手数料は経費に分ける
- 売上金が残高にある間は売掛金。口座に移したら普通預金に振り替える
- 計上日は発送日か受取評価の日のどちらかに決め、すべての取引で同じにする
- 業務に係る雑所得で前々年の収入が300万円以下なら、入金日で計上する方法も選べる
- 年末は売掛金と残高の照合、在庫の棚卸しをしてから締める
仕訳の形が一度決まれば、あとは取引ごとに同じ形を積み上げていくだけです。




